事業者向け資源有効利用促進法の仕組みと対象となる業種について
「資源有効利用促進法」は、廃棄物を抑えたり再生資源や再生部品の利用の促進を図ったりして、循環型社会への移行を目指すことを目的とした法律です。循環型社会を作るために通称「3R」と呼ばれる以下の3つの取り組みを推進しています。
- リデュース(廃棄物の発生抑制)
- リユース(再使用)
- リサイクル(再資源化)
ここでは、事業者向け資源有効利用促進法の仕組みや対象業種、罰則について解説します。
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資源有効利用促進法の概要
資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)は、再生資源利用促進法(再生資源の利用の促進に関する法律)の改正法として、平成12年6月に制定、13年4月に施行されました。
廃棄物の発生を抑えたり、再生資源や再生部品を使用したりすることを促進し、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、資源を再利用する循環型社会への移行を目指しています。
法が制定される以前、施策の中核は廃棄物のリサイクルでしたが、この法律ではリサイクルに加え、リデュースやリユースの実行を要請しているのが特徴です。
製品の製造や設計段階における3R対策や配慮、識別表示やリサイクルシステムの構築などが規定されています。
資源有効利用促進法の対象となる業種とは
法律の対象となるのは10業種・69品目です。10業種は、大きく以下の2つに分けられます。
- 特定省資源業種:原材料の使用の合理化など副産物の発生抑制等が求められる業種
- 特定再利用業種:再生資源および再生部品を利用が求められる業種
それぞれに分かれた10業種は、次の通りです。
「特定省資源業種」
- パルプ製造業/紙製造業(スラッジ)
- 無機化学工業製品製造業/有機化学工業製品製造業(スラッジ)
- 製鉄業/製鋼/製鋼圧延業(スラグ)
- 銅第一次製錬/精製業(スラグ)
- 自動車製造業(金属くず・鋳物廃砂)
※()内は工場等で発生する副産物
「特定再利用業種」
- 紙製造業(古紙)
- 硬質塩化ビニル製の菅・菅継手の製造業(使用済硬質塩化ビニル製の管または管継手)
- 複写機製造業(使用済複写機の駆動装置など)
- ガラス容器製造業(カレット)
- 建設業(土砂、コンクリートの塊など)
※()内は再生資源・再生部品
特定省資源業種の5業種は、原材料等の使用合理化によって副産物の発生を抑えたり、再生資源の利用促進等を行ったりする必要があります。具体的には、副産物の発生抑制に関する目標を定めたり、技術向上、設備の整備・改善、記録や情報提供をしたりすることなどです。
例えば、パルプ製造業/紙製造業であれば、ペーパースラッジ(副産物)の発生を抑える設備等を整備したり、利用者に対して品質等の情報提供を行ったりします。
特定再利用業種の5業種は、再生資源または再生部品の利用の促進を行う必要があります。古紙やカレットなどの再生資源・再生部品の利用量を向上させたり、設備の整備、品質等の情報提供をしたり、再生資源利用計画を作り記録したりするなどの取り組みが必要です。
例えば、複写機製造業であれば、乾燥装置や洗浄装置、再生部品検査装置等を整備したり、再生部品の検査や洗浄・修理技術等の向上を行ったりします。
なお、法律対象の69品目については「指定省資源化製品」や「指定再利用促進製品」「指定表示製品」「指定再資源化製品」などに分けられ、自動車や家電製品などが該当します。
資源有効利用促進法の罰則
法の対象事業者の取り組みが、著しく不十分と判断された場合は以下の罰則(行政措置)が課せられます。
- 指導・助言
- 勧告
- 公表
- 命令
- 罰金
主務大臣に計画書の提出や業務状況の報告をしない場合は20万円以下の罰金です。また、勧告を受け報告をしなかった場合や虚偽報告をしたことが発覚した場合、検査を拒んだ場合も20万円以下の罰金となります。
さらに、勧告や公表でも改善しなかった場合は、関係審議会後、命令によって違反する者に50万円以下の罰金が科されるのです。
違反行為をしたのが、法人代表者もしくは従業員の場合、罰せられるのは違反行為をした人だけでなく、法人に対しても罰が科せられます。
なお、計画書を作成しなかった場合の罰金20万円以下は特定省資源事業者が対象となりますが、他の罰則は特定省資源事業者や特定再利用事業者の両方に加え、指定省資源化事業者や指定再利用促進事業者なども対象です。
罰則が適用されない場合も
売上高や従業員など、次の要件を満たす事業者は罰則等が適用されません。
- 製造業等:売上高2億4,000万円以下、従業員20名以下
- 商業、サービス業:売上高7,000万円以下、従業員5名以下
上記のような小規模事業者は、罰則等は適用されませんが、識別表示義務はあります。
まとめ
ここでは、資源有効利用促進法について解説しました。資源有効利用促進法は、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会を脱却し、循環型社会へ移行するために重要な3R等の取り組みを推進する法律です。副産物の発生を抑えたり再生資源の利用等の取り組みが著しく不十分だったりする場合は、罰則が課せられます。事業者として適切に運営していくためにも、法律の概要や罰則等についての理解を深めておきましょう。
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