産業廃棄物税(産廃税)とは
産業廃棄物税(産廃税)の存在は、産業廃棄物に携わる業者にとって重要な制度となります。しかし、全ての自治体で導入されている制度ではなく、まだ導入されていない自治体も存在しているのが現状です。
この記事では、産業廃棄物税の制度について導入事例を交えて解説します。
目次 CONTENTS
産業廃棄物税(産廃税)の概要
産業廃棄物税(産廃税)を課せられるのは、個人の消費者ではなく、産業廃棄物を排出する事業者や中間処理をする事業者です。2000年(平成12年)に施工された「地方分権一括法」に定められた法定外目的税のひとつであり、産業廃棄物最終処理量1トンにつき1,000円課税されます。
産業廃棄物税は、産業廃棄物の発生と排出の抑制や、リサイクル率向上のための政策に充てられたり、不適正処理の対策強化のために利用されたりする財源となります。
2019年11月時点で27道府県と1市が導入している税制度であり、確実な環境保護に繋がっていると言えるでしょう。
産業廃棄物税(産廃税)の課税方式
産業廃棄物税(産廃税)の課税方式には以下の4種類があります。
- 排出事業者申告納付方式
課税対象者は、産業廃棄物を最終処分場または中間処理施設へ搬入する事業者であり、三重県と滋賀県がこの方式を採用しています。 - 最終処分業者特別徴収方式
課税対象者は、最終処分場に搬入される産業廃棄物の排出事業者及び中間処理業者です。北海道・東北各県・近畿・関西方面・四国や九州の一部・沖縄県などがこの方式を採用しています。 - 最終処分業者課税方式
課税対象者は、最終処分業者及び自家処分事業者であり、北九州市がこの方式を採用しています。 - 焼却処理・最終処分業者 特別徴収方式
課税対象者は、焼却施設及び最終処分場へ産業廃棄物を搬入する排出事業者または中間処理業者です。九州の多くの県がこの方式を採用しています。
産業廃棄物税(産廃税)の納め方
上記した課税方式に対し、各自治体が実際に採用している納税方法は下表の通りです。 (引用:オデッサ・テクノス)
最終処分業者特別徴収方式
都道府県 | 税率 | 施行年月日 |
---|---|---|
三重県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 中間処理施設へ搬入した場合: 焼却施設または脱水施設 100円/t 乾燥施設または中和施設 300円/t 油水分離施設 200円/t その他の施設 1,000円/t |
平成14年4月1日 |
滋賀県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 中間処理施設へ搬入した場合: 焼却施設または脱水施設 100円/t 乾燥施設または中和施設 300円/t 熱分解または発酵施設 600円/t 油水分離施設 900円/t その他の施設 1,000円/t |
平成16年4月1日 |
最終処分業者特別徴収方式
都道府県 | 税率 | 施行年月日 |
---|---|---|
北海道 | 1,000円/t | 平成18年10月1日 |
青森県 | 1,000円/t | 平成16年1月1日 |
岩手県 | 1,000円/t | 平成16年1月1日 |
秋田県 | 1,000円/t | 平成16年4月1日 |
山形県 | 1,000円/t | 平成18年10月1日 |
宮城県 | 1,000円/t | 平成17年4月1日 |
福島県 | 1,000円/t 総搬入量が1万tを超える事業者は500円/t |
平成18年4月1日 |
新潟県 | 1,000円/t | 平成16年4月1日 |
愛知県 | 1,000円/t 自ら最終処分を行った事業者の場合は、500円/t |
平成18年4月1日 |
奈良県 | 1,000円/t | 平成16年4月1日 |
京都府 | 1,000円/t | 平成17年4月1日 |
鳥取県 | 1,000円/t | 平成15年4月1日 |
島根県 | 1,000円/t | 平成17年4月1日 |
岡山県 | 1,000円/t | 平成15年4月1日 |
広島県 | 1,000円/t | 平成15年4月1日 |
山口県 | 1,000円/t | 平成16年4月1日 |
愛媛県 | 1,000円/t | 平成16年4月1日 |
熊本県 | 1,000円/t | 平成17年4月1日 |
沖縄県 | 1,000円/t | 平成18年4月1日 |
最終処分業者課税方式
都道府県 | 税率 | 施行年月日 |
---|---|---|
北九州市 | 1,000円/t | 平成15年4月1日 |
焼却処理・最終処分業者 特別徴収方式
都道府県 | 税率 | 施行年月日 |
---|---|---|
福岡県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 焼却施設へ搬入した場合:800円/t | 平成17年4月1日 |
佐賀県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 焼却施設へ搬入した場合:800円/t | 平成15年4月1日 |
長崎県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 焼却施設へ搬入した場合:800円/t | 平成17年4月1日 |
大分県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 焼却施設へ搬入した場合:800円/t | 平成17年4月1日 |
宮崎県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 焼却施設へ搬入した場合:800円/t | 平成17年4月1日 |
鹿児島県 | 最終処分施設へ搬入した場合:1,000円/t 焼却施設へ搬入した場合:800円/t | 平成17年4月1日 |
なお、再生施設に搬入した場合に産業廃棄物税が発生するのではなく、あくまでも処分の段階に発生することを覚えておきましょう。
まとめ
産業廃棄物税は、導入により不適正な産廃処分の流れを食い止め、再生する方向に持っていく目的からもわかるように、環境への配慮に繋がる重要な税制度と言えます。ただし、産業廃棄物税は自治体によって課税方法や納め方が異なり、処分方法によって細分化されている自治体もあるので注意が必要です。
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