産業廃棄物処理業者が気をつけるべき廃棄物処理法の概要と罰則
1970年に制定された廃棄物処理法は、不法投棄をはじめとした違反行為や罰則を定めたものです。法に違反した場合は、最高5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金となります。社会的にも問題視され、環境保護の観点からも看過できない不法投棄を取り締まるために制定されたのが廃棄物処理法です。
産業廃棄物処理業者として運営していくのであれば、法律の概要や罰則について熟知し、遵守していく姿勢が重要だと言えるでしょう。ここでは、産業廃棄物処理業者が知っておくべき廃棄物処理法の概要や罰則について解説します。
廃棄物処理法の概要
廃棄物処理法とは、廃棄物の排出を抑えたりリサイクルをしたりするなどして、公衆衛生の向上や生活環境の保全など、私たちの生活環境が安全に守られることを目的した法律です。正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」となります。
この法律が誕生したのは、1950〜1960年代からの高度成長期に伴う、大量生産・大量消費・大量廃棄が社会問題化したためです。そして、ごみ問題を解消するために、1970年に廃棄物処理法が制定されました。
公衆衛生の向上や生活環境の保全などを目的としていることから、時代によって問題の中身も変わってくるため、これまでに何度も改正されています。
廃棄物処理法の罰則
事業者として適切な活動をするのであれば、法律の罰則に係る行為や罰の内容を把握しておく必要があります。ここでは、法律の主な罰則について見ていきましょう。
「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または両方」
次のような行為をした場合は最も重い罰が科されます。以下で紹介する無許可営業や営業許可を不正に取得することは絶対にしてはいけません。
- 無許可営業:許可を受けないまま運搬や処分を行った場合
- 営業許可の不正取得:運搬業や処分業の許可を受けるのに不正な手段を使った場合
- 事業範囲の無許可変更:許可を受けていないのに事業範囲の変更をした場合 等
他にも、無許可輸入や改善命令違反など、多くの行為が該当します。
「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または両方」
ここで紹介する再委託禁止や使用停止命令に違反することは、2番目に重い罰則となります。主な行為の内容は、次の通りです。
- 委託基準違反(再委託禁止違反):定められた基準に違反して、運搬や処分を他人に任せた場合
- 施設改善命令違反(使用停止命令違反):施設改善命令、使用停止命令に従わない場合 等
他にも、施設無許可譲受け・無許可借受けや輸入許可条件違反などがあります。
「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または両方」
次の行為には「2年以下の懲役」「200万円以下」の罰金が科されます。
- 無確認輸出の予備:無確認輸出を行う目的で、その予備をしたとき
上記のとおり、無確認輸出を目的とした予備を行うと、罰則となりますので注意してください。
「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」
次の行為は「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」が科されることとなります。
- 管理票保存義務違反:管理票の写しを一定期間(5年)保存しなかった場合
- 電子管理票虚偽登録:虚偽内容の登録をした場合
- 虚偽管理票送付:処分が終わっていないのに管理票を送付したり情報処理センターに報告したりした場合 等
上記に加え、交付義務違反や記載義務違反など、管理票に関する違反を行うと罰則を科されます。
「1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」
次の行為も罰則を受けることになりますので、計画変更命令等の情報は事前に確認しておきましょう。
- 土地形質変更命令違反:土地形質変更において知事の計画変更命令に違反した場合
計画変更命令や措置目入れは絶対ですので、違反者は当然罰則の適用を受けることになります。
「6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」
写しの保存や届け出をしないなど、たとえ悪意がなくても罰則が科されることになります。
- 欠格要件該当届出違反:処分業者や運搬業者が欠格要件に該当しているにもかかわらず届け出をしなかった場合
- 施設使用前検査受検義務違反:検査をせずに一般廃棄物処理施設などの施設を使った場合
- 処理困難通知写し保存義務違反:処理困難通知をしたときに写しを保存していない場合 等
このような違反行為により罰則を受けることになっては大変です。欠格要件に該当するときは、届け出を忘れてはいけません。
「30万円以下の罰金」
他に比べ罰則が軽く感じるかもしれませんが、責任者を置いたり、帳簿に記載したりすることは事業者としてごく当たり前のことです。
- 処理責任者等設置義務違反:各事業場で責任者や管理責任者を置かなかった場合
- 技術管理者設置義務違反:設置者が必要な技術管理者を置かなかった場合
- 帳簿備付け義務違反:処分業者や事業者が処理に関して帳簿に記載・保存しなかった場合 等
定められた責任者や技術管理者を置かないことは、当然違反となります。適切に責任者及び管理者を置くようにしてください。
「20万円以下の過料」
次の違反行為をすると「20万円以下の過料」が科せられます。
- 土地形質変更届出違反:土地形質変更をしていて知事へ届け出をしない場合や虚偽の届け出をした場合
- 処理計画届出義務違反:産業廃棄物等の多量輩出事業者が処理計画を提出しない、もしくは虚偽内容を記載していた場合
- 処理状況報告義務違反:産業廃棄物等の多量輩出事業者が処理状況を報告しない、もしくは虚偽内容を報告した場合 等
虚偽の記載や報告、届け出をすると罰則が科されます。虚偽記載や報告、届け出は結局はバレるので、細かいことだと思っても遵守することが大切です。
「10万円以下の過料」
次の違反行為をすると「10万円以下の過料」となります。
- 名称使用禁止違反:事業者の登録を知事から受けていないにも関わらず名称を使用した場合
勝手に名称を使用することは、違反行為になるので注意が必要です。
まとめ
ここでは、知っておくべき廃棄物処理法の概要や罰則について解説しました。廃棄物処理法は、公衆衛生の向上や生活環境の保全など、私たちの生活環境が安全に守られることを目的とした法律です。不法投棄など、法律に違反した場合は最高5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が科せられます。
事業者として適切に運営していくためには、法律を正しく理解しておくことが必要です。廃棄物処理法は時代ごとのごみ問題や環境問題に合わせてこれまでに何度も改正されてきました。産業廃棄物処理業者であれば、定期的に最新の内容を確認し、正しく運営することが求められているのです。
お問い合わせはこちら
CONTACT
サービス情報やご不明な点などありましたら、
以下のメールフォームよりお問い合わせください。