SDGs「つくる責任つかう責任」-政府や排出事業者の取り組み-
持続可能でよりよい世界を目指して、国連サミットで採択された国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」。これを受けて、各国が、あるいは各企業ができる範囲で、さまざまな取り組みが始まっています。
廃棄物排出量の削減や再生利用の推進などを掲げる目標12「つくる責任つかう責任」についても、産業廃棄物の排出事業者をはじめ多くの企業や自治体が、責任をまっとうするための活動を進めています。
今回は、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」についての取り組み事例を中心に、目標を達成するために私たちができることを考えてみましょう。
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目次 CONTENTS
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」とは
SDGsでは、2030年までに世界各国が達成すべき目標を大きく17項目にわけて提示し、誰ひとり取り残されることのない社会をめざしています。このなかで、目標12の「つくる責任つかう責任」は、持続可能な生産消費形態の確保をめざす項目です。
世界の人口が爆発的に増え続くなかで、限りのある天然資源をシェアしていくには良質でより多くのものが得られるような生産と消費の形態をつくる必要があります。
SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」では、食品廃棄物の削減、リサイクル・リユースによる廃棄物の削減、環境に配慮した廃棄物の管理など11のターゲット(達成基準)で示しており、従来の生産消費形態を見つめ直すよう求めています。
SDGsに対する日本政府の取り組み
SDGsを受けて日本政府では、2016年に総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」を設置し、国内での実施と国際協力の両面から取り組む体制を整備しました。
その後、行政や民間セクター、NGO・NPOなど幅広いステークホルダーとの対話を経て、取り組みの指針となる「SDGs実施指針」を決定。2019年12月には、SDGs実施指針の改定に加え、具体的な施策をとりまとめた「SDGsアクションプラン2020」を決めました。
SDGsアクションプラン2020の内容は?
SDGsアクションプラン2020では、目標達成年である2030年に向けて「行動の10年の始まり」というサブタイトルを付けています。その内容は、ビジネスと科学技術を用いたイノベーション(IoTやAIなどの活用)、災害に強い強靱かつ環境に優しいまちづくり、女性活躍推進や働き方改革の着実な実施などの項目があります。
廃棄物処理の観点でみると、近年、頻発・激甚化する自然災害により大量の災害廃棄物が生まれています。これを処理するシステムをつくるため、事前計画の策定や体制の整備などに取り組むとしています。
また、海外協力の点では開発途上国を中心に、廃棄物発電や浄化槽システムの導入など環境負荷の低減につながる取り組みも展開。これにともない、国内の循環産業に対する戦略的な国際展開の支援も進めています。
このほか、2019年のG20大阪サミットで合意した海洋プラスチックごみによる汚染を抑制する「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現をめざした取り組みも、SDGsアクションプラン2020のなかで提言されています。
企業や自治体のSDGsに対する取り組み
SDGsに対しての取り組みは、企業や自治体のあいだでも広がっています。IoTやAIの活用や、働き方改革に関する取り組みなど、活動内容はさまざまですが、ここではSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」に関する内容について、いくつかご紹介しましょう。
【事例1】食品ロスを抑えたベーカリーショップ
SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」には、食品廃棄物や、食べられるのに廃棄される「食品ロス」の低減も目標に掲げられています。
広島市のベーカリーショップ「ドリアン」では、食品ロスの低減につながる取り組みをおこなっています。たとえば商品数。以前は約40種類ものパンを提供しており、雨の日などは食品ロスも多かったそうですが、現在では売れ筋の4商品に特化することで廃棄物の削減につながっているそうです。
また、日持ちの短い具材はできるだけ使用しないといった工夫により、賞味期限切れを理由に廃棄されるパンが減り、食品ロスの解消に寄与しています。
【事例2】再利用を前提とした商品開発
法人向けの複合機などを販売・サポートする富士ゼロックスでは、「クローズド・ループ・システム」という資源の有効活用を目的にした取り組みをおこなっています。これは、自社で販売した使用済み商品を回収し、使える部品を再使用またはリサイクルすることで環境負荷の低減をめざすというもの。繰り返し使える商品を提供するため、新商品を開発する際には企画段階から再使用を前提としてつくられているそうです。
再使用できない部品についても、細かく分別して資源化することで天然資源の消費をできる限り抑えています。
こうした取り組みにより、従来は再資源化が難しかったガラスやゴム系の部品も、再利用できる資源にリサイクルできるようになったそうです。
【事例3】リサイクル率の向上をめざす自治体
企業だけでなく、自治体でもSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」に対する取り組みに注力しているところがたくさんあります。
石川県小松市では2019年に「SDGs未来都市計画」を策定。そのなかで、2030年度のリサイクル率を35%とする目標を掲げています。ちなみに、小松市のリサイクル率は2017年の時点で21.5%ですから、いっそうの努力が必要でしょう。しかし、小松市は以前から環境に対する意識が高く、廃棄物の減量やリサイクルに関するさまざまな取り組みをおこなってきました。
たとえば、一定枚数までは無料でそれを超えると有料になる超過重量方式による「ごみダイエット袋」の導入や、食品ロスの削減を目標とする「食べきり運動」の実施、市内で収穫される大麦の麦わらを使ったストローの開発など、地域総ぐるみの活動を展開しており、リサイクル率の目標達成も期待できそうです。
まとめ
政府や自治体、そして企業では、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」の達成をめざして、協力する取り組みを進めています。
こうした組織的な努力も、廃棄物排出量の削減や再生利用の推進に大きく寄与しますが、これとあわせて消費者側の意識改善も目標達成には欠かせません。食品廃棄物をみても、「必要な分だけ購入する」「賞味期限前に使い切る」といったことを実践するだけで大幅な削減につながります。
些細なことでも、一人ひとりができることから始めることで、持続可能な生産消費サイクルの実現に近づけるのです。
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