SDGs「つくる責任つかう責任」-廃棄物とリサイクル-
日本では毎年、4億トンを超える廃棄物が排出されています。このうち、リサイクルやリユースなど再生利用されている廃棄物がどれくらいあるのか、ご存じの方は少ないのではないでしょうか。
2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任つかう責任」では、廃棄物の排出量削減に加え、リサイクルなど再生利用の推進といった施策を通じて、持続可能な生産消費サイクルの実現をめざすことを掲げています。
SDGsの採択から数年が経った現在、廃棄物排出と再生利用の現状についてお伝えします。
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SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」について
SDGsとは、持続可能でよりよい世界を目指して、2015年の国連サミットで採択された国際目標のことです。SDGsでは17の目標が掲げられましたが、そのなかで廃棄物排出量の削減や再生利用の推進について触れられた項目が、目標12の「つくる責任つかう責任」です。
持続可能な生産消費形態の確保を目指して、限られた資源を有効活用することにより、より高い品質で、より多くのものが得られる生産と消費の形態を求めています。
この目標は、先進国や開発途上国を問わずすべての国、すべての企業、そして私たちすべての一般消費者に対して投げかけられており、有害排気物や汚染物質の処理方法の改善から食品ロスの低減まで、具体的に11のターゲット(達成基準)で示されています。
廃棄物排出の現状
目標12「つくる責任つかう責任」では、2030年までに世界全体で一人当たりの食品廃棄物を半減させること(ターゲット12.3)、化学物質やすべての廃棄物を環境に配慮して管理することで人々の健康や環境への悪影響を最小限に留めること(ターゲット12.4)、リサイクルやリユースにより廃棄物の排出量を大幅に削減すること(ターゲット12.5)などの達成基準が示されています。
こうした目標を掲げる背景には、食品ロス(食品廃棄)や環境問題、リサイクルをはじめ再生利用に関する認識が世界的に浸透していない現状が挙げられます。それぞれの現状をみていきましょう。
食品ロスの現状
世界で生産される食用農水産物のうち、実に約3分の1が消費されることなく廃棄されているといわれます。これだけの量がなぜ廃棄されるのか、その理由は国によって事情が異なります。
たとえば開発途上国の場合、消費者に届けられる前に生産や輸送の段階で廃棄処分となる量が約4割を占めるといわれます。これは、冷蔵設備や輸送体制といったインフラや物流機能が未整備なのが主な理由で、将来の経済発展によって改善されることが期待されています。
一方で日本の場合、食品廃棄物は年間約2,700万トンですが、このうち半分近くを占めるのが「調理くず」です。調理中に出た食品残さなどが、これにあたります。このほか、賞味期限切れなどの理由で販売されずに廃棄された食品や食べ残しなどの食品ロスも、年間646万トン(平成27年度推計)もあります。
日本のような状況は先進国全体でもみられ、「必要な分だけ購入する」「必要以上に食品の供給を抑える」「できるだけ食材は使い切る」といったことに注意していく必要があるでしょう。
温室効果ガスなどの排出量の現状
2017年に世界で排出された二酸化炭素の量は、約328億トンです。このうち、中国とアメリカの2国だけで4割以上を占めます。日本の二酸化炭素排出量は約11億3,200万トンで、世界では5位になります。
日本では、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減に早くから努めてきたことから、その排出量は年々減少傾向にあるようです。企業でも排出削減目標を独自に設定し、エネルギーの効率的な使用やメタン排出量の削減など、さまざまな施策で環境に配慮した活動を進めています。
再生利用の現状
日本では、排出される廃棄物のうち20.2%(平成29年)がリサイクルなど再生利用されています。これは21世紀に入り、企業をはじめ多くの人がリサイクルに対する意識が向上したことが大きいでしょう。リサイクルが増えた分、廃棄物の総排出量も年々減少傾向にあります。
しかし、日本のリサイクル率はここ10年、20%で頭打ちの状況が続いています。世界と比べても、ドイツや韓国、オーストリアなどはリサイクル率が50%を超えており、先進国のなかでも日本は下位ランクです。世界的にみると、日本はさらなるリサイクルへの取り組みが必要でしょう。
出典:環境省環境再生・資源循環局「日本の廃棄物処理」(平成29年度版)
OECD ENVIRONMENTAL TRENDS
3Rの推進がリサイクル率向上のカギ
2000年に制定された循環型社会形成基本法では、環境に優しい循環型社会の形成には「3R」の重要性を訴えています。3Rとは、 Reduce(リデュース=ゴミを出さない)、Reuse(リユース=再使用)、Recycle(リサイクル=再生利用)のこと。循環型社会形成基本法は、この順に廃棄物処理に対応するよう求めています。
産業廃棄物の排出事業者のなかには、こうした取り組みをすでに進めているところも多いでしょう。最近では、「クローズド・ループ・システム」という、限りなく廃棄ゼロを目指すリサイクル方針を掲げる企業も出ています。このシステムは、自社で販売した使用済み製品を回収し、部品を再使用したりリサイクルしたりすることで廃棄物を抑制する取り組みで、資源を使い切るまで循環させていくことをめざします。
このほかにも、排出事業者では廃棄物の抑制を目指してさまざまな取り組みがおこなわれています。具体的な例は、以下のページで紹介しましょう。
まとめ
さまざまな資源を活用してモノを生産する人には「つくる責任」があり、それを消費する人には「つかう責任」がある。それを示したのが、SDGsの「つくる責任つかう責任(持続可能な生産消費形態の確保)」です。
新たな生産消費形態をつくるには並みならぬ努力が必要ですが、その基本には「ゴミを出さない」「再使用または再生利用する」という3Rの考え方も重要なポイントでしょう。3Rの取り組みをさらに広げることが、日本のリサイクル率の向上につながり、SDGsの「つくる責任つかう責任」の目標達成にも大きく寄与するのです。
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