鉱さいの概要や主なリサイクル方法について解説
産業廃棄物の一つである「鉱さい」について、詳しく知りたいという方も多いかもしれません。鉱さいは再生利用率が高い産業廃棄物で、そのリサイクル方法も多岐にわたります。
この記事では、鉱さいの概要を紹介した上で、最新の排出量や処理状況を解説します。加えて、主な3つのリサイクル方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次 CONTENTS
鉱さいとは
鉱さいとは、鉱物を精錬(不純物を取り除いて純度を高める作業)するときに発生する溶融物質で、目的成分以外を指すのが特徴です。鉱さいの具体例として、以下のものが挙げられます。
- 不良石炭
- 粉炭かす
- 鉱じん
- ボタ
- スラグ
- 使用した鋳物砂(いものずな)
上記のうち、スラグとは高炉や電気炉などで発生する「炉かす」を指します。溶融した金属の表面に分離した不純物が、冷却されて砂や石のようになった状態のことです。
また、鋳物砂とは、金属を鋳造する際に使用する砂を指し、一般的には珪砂(けいしゃ)が使用されます。場合によっては、ジルコン砂や人工砂が使われることもあります。
鉱さいの排出量や処理状況
ここからは、鉱さいの排出量や処理状況について確認していきましょう。環境省の発表(※)によれば、2020年度の鉱さいの排出量は14,318千トンで、前年度の13,807千トンと比べると、511千トン増加しています。また、産業廃棄物全体(392,147千トン)に占める割合は3.7%で、こちらも前年度の3.6%に比べて0.1ポイントの増加です。
※環境省「令和3年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和2年度速報値」
ただし、2020年度実績値の再生利用率は93.8%となっており、汚泥(7.3%)や廃アルカリ(17.8%)などと比べて高い再生利用率が特徴です。
鉱さいの他に再生利用率が高い産業廃棄物としては、がれき類(96.5%)や金属くず(96.2%)、動物のふん尿(95.0%)が挙げられます。産業廃棄物全体の再生利用率は53.4%という結果です。
鉱さいの主なリサイクル方法
次に、鉱さいの主なリサイクル方法を3つご紹介します。
1.路盤材
コンクリートやアスファルトの路面の下に敷く砂利や石の「路盤材」として、鉱さいはリサイクルが可能です。そもそも路盤材として使用するには、地盤への荷重を調整する役目を果たせるように、砂利や石の強度・粒度が規格に則ったものでなければなりません。
鉱さいの中でも、スラグは化学的に安定しており、重金属が溶け出しにくいという性質もあるため、路盤材としてうまく再利用できるのです。
2.セメント原料
コンクリート作りで必要なセメントの原料として、スラグやばいじん、燃え殻などの鉱さいが使われています。セメント製造では、原則として粘土や珪石などの天然原料を使用しますが、セメント原料として適用可能な成分の鉱さいは、代替材料として活用されているのです。
また、有害物質溶出の恐れがあるために「路盤材としては使えない鉱さい」も、セメント原料であれば安心して再利用できます。
3.鋳物砂
一度使った鋳物砂であっても、鋳造工程で混じった鉄や異物を機械で選り分けることで、再び鋳物砂として利用できます。また、上述した路盤材やセメント原料としてリサイクルされるケースもあります。
まとめ
スラグや鉱じんなどの鉱さいは、2020年度の排出量が14,318千トンで、前年度と比較して511千トン増加しています。ただし、再生利用率は93.8%と高く、路盤材やセメント原料などに幅広く活用されているのが特徴です。
さまざまなリサイクル方法で鉱さいをしっかりと再利用することが、資源消費量の削減を実現し、地球環境の保全にもつながるでしょう。産業廃棄物処理業においても重要な鉱さいのリサイクル方法を把握して、ぜひ今後の業務にお役立てください。
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