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産業廃棄物の最終処分場の概要や種類と残余年数について解説

環境保全が世界的な課題のなか、国内においても産業廃棄物最終処分場の「残余年数」を見据えた取り組みが不可欠となってきました。企業活動の安定性を高めるためにも、この残余年数について把握しておくことが重要です。

今回は、産業廃棄物の最終処分場の概要や、3つの種類を解説し、残余年数と今後必要な取り組みについてもご紹介します。

産業廃棄物の最終処分場とは、廃棄物を「安全な状態で埋め立て処分できる施設」のことです。産業廃棄物の処理施設は、廃棄物処理法の第15条第1項によって規定されています。

最終処分場で定義される「安全」とは、処理を行う際に、廃棄物の飛散や流出、汚水の流出、害虫の発生などを防止できるという点。また、最終処分場に持ち込まれる産業廃棄物は、破砕や粉砕、中間処理などの工程のなかで、「リユースやリサイクルができなかったもの」が対象です。

なお、かつての最終処分では、海洋投棄と土壌還元をメインとしていましたが、2007年にロンドン条約の同義書を締結したことにより、海洋投棄が原則的に禁止されました。そのため、現在の最終処分場で用いられる方法は、埋め立て処分となっています。

次に、産業廃棄物の最終処分場の種類と特徴をそれぞれご紹介します。

特に有害な産業廃棄物の処分に特化しているのが「遮断型最終処分場」で、その名の通り、自然環境と有害物質を「遮断」できることが特徴です。例えば、処分場内への雨水が流入しないように雨水排除設備が備わっていたり、側面や底面が水密性の鉄筋コンクリートによって施工されていたりします。

なお、遮断型最終処分場で取り扱われるのは、有害な燃え殻や汚泥、ばいじんなどの「特定管理産業廃棄物」が対象です。有害か否かの選別は、廃棄物処理法に基づいて実施されます。

有害物・有機物の付着が見られず、雨水等による変化が少ない産業廃棄物を処分するのが「安定型最終処分場」。廃プラスチック類やガラスくず、ゴムくずなど「安定5品目」と呼ばれる産業廃棄物、もしくは環境大臣が指定する品目が処分対象です。

安定型最終処分場で取り扱う産業廃棄物が周辺環境を汚染させるリスクは少ないため、処分場の内部・外部の遮断や、集排水設備の設置などは基本的に必要ありません。ただし、有害な産業廃棄物が誤って混入するような事態を防ぐために、搬入物の展開検査や、浸透水の定期的な分析検査などが義務付けられています。

遮断型最終処分場と安定型最終処分場のどちらにも当てはまらない産業廃棄物は、「管理型最終処分場」で処理されます。対象となる主な産業廃棄物は、燃え殻や紙くず、木くずなどです。

有害物質や有機物を含有する産業廃棄物を処理するケースもあるため、処分場の側面や底面には遮水工が設置されます。また、保有水等を放流する前処理として、液処理設備が備わっていることも特徴です。

最終処分場の「埋め立て処分が可能な残り年数」を示す指数として、残余年数があります。環境省の「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」によると、2018年度の産業廃棄物最終処分場の残余容量は1.59億立方メートル、残余年数は17.4年です。

一般廃棄物最終処分場に関しても、2019年度末時点の残余年数は全国平均で21.4年となっており、決して多い年数でないことが分かります。

残余年数でリミットが示されるなか、「最終処分場の数を増やす」という解決策には、大きな困難が伴います。なぜなら、最終処分場として利用可能な土地の確保や、近隣住民から理解を得ることには、大きな労力が必要なためです。

このように、新たな最終処分場の建設がなかなか進展しづらい側面もあるため、3Rの取り組みをさらに促進し、各企業・個人が排出する廃棄物の量を減らすことが重要だと言えるでしょう。

産業廃棄物の最終処分場は3つの種類に分けられ、有害性の基準によって取り扱う廃棄物の種類が異なります。また、埋め立て処分が可能な土地には限りがあることから、最終処分場の残余年数を延長できるような取り組みが必須だと言えるでしょう。

各企業においては、3Rの取り組みを促進し、産業廃棄物の排出総量を削減させることが大切です。今回ご紹介した内容を参考に、自社における産業廃棄物の排出量削減を考える一つのきっかけとしてはいかがでしょうか。

 

 
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