産業廃棄物の適正処理について、正しい処理方法や処理の現状、適正処理を進める対策を解説
環境保全が叫ばれる昨今、産業廃棄物の適正処理は重要な課題です。産業廃棄物処理業に携わるうえで、適正処理の流れや近年の対策について把握しておく必要があるでしょう。
今回は、産業廃棄物の適正処理の概要や現状の解説とともに、適正処理を進めるために実施されている具体的な対策もご紹介します。
目次 CONTENTS
産業廃棄物の適正処理について
産業廃棄物が正しく処理されるまでの流れは、以下のように大きく4つのステップに分けられます。
- 産業廃棄物の発生
- 保管
- 収集・運搬
- 処分・再生
まず、産業廃棄物を発生させた事業者は、正しく分別したうえで、収集・運搬に備えて「保管基準」に沿って保管します。その後、収集運搬業者による収集・運搬、もしくは排出事業者自身による収集・運搬が実施されるのです。
収集・運搬を経た産業廃棄物は、処分事業者、もしくは排出事業者自身によって、中間処理や埋立処分、再生などが実行されます。たとえ外部の事業者へ委託する場合であっても、産業廃棄物に対する責任が問われるのは排出事業者です。
そのため、収集運搬事業者や処分事業者へ委託する際は、委託基準を守り、適正な処理が実行されるようにしなければなりません。
産業廃棄物の現状
2022年1月に環境省が発表した報道資料によると、令和2年度における産業廃棄物の不法投棄は、総量が5.1万トン、件数が年間139件にも及んでいます。平成10年代前半のピーク時と比較すると大幅な減少が見られるとはいえ、いまだに悪質な不法投棄が後を絶ちません。
なお、不法投棄の新規判明した事案のなかで、件数が多いのは排出事業者の60件で、全体の43%に該当します。また、投棄量が多いのは無許可業者の1.4万トン。全体の24%を占めています。
そのうえ、産業廃棄物の不適正処理に関しても、年間で182件、総量8.6万トン(前年比+3.0万トン)が発覚しており、不法投棄と同じく根絶すべき課題です。
不法投棄、および不適正処理を含めた残存事案は、令和2年度だけで2,782件報告されており、産業廃棄物を適正処理するための取り組みは、今後さらに強化する必要があるでしょう。
産業廃棄物の適正処理を進めるには
では、産業廃棄物の適正処理を進めるには、どのような対策が実施されているのでしょうか。ここからは、産業廃棄物の適正処理を促進させるための対策を2つご紹介します。
不法投棄・不適正処理対策
不法投棄、および不適正処理への対策として、以下のような取り組みが実施されています。
- 不法投棄ホットラインの設置:電子メールや電話によって国民が不法投棄に関して通報可能
- 都道府県などの取り組み支援:産業廃棄物に精通した専門家が、責任追及方法などの助言を行う
- 普及啓発・監視活動:国と都道府県などが連携し、不法投棄撲滅に向けた活動を実施
上記のなかでも、普及啓発・監視活動は活発で、2020年度は全国で5,453件もの活動が実施されました。
最終処分場の確保等
産業廃棄物の最終処分場を確保するため、環境省は「課題対応型産業廃棄物処理施設運用支援事業」として、「管理型最終処分場」を整備する5事業に対して、2020年度までに支援を実施しました。
原則的に、産業廃棄物処理施設は民間が設置するものですが、近年は環境問題に対する国民の関心が高まったことにより、処理施設の増設や新設は難しい課題でした。そのため、県などの公共が関与することで、「公共関与型産業廃棄物処理施設」の整備を進め、産業廃棄物を適正に処理するための体制確保を行ったという形です。
まとめ
産業廃棄物が適正に処理されるまでには、保管や収集・運搬など大きく4つのステップを踏まなければなりません。どのステップも適正な処理が必要なうえ、特に外部の事業者へ委託する際は「委託基準の遵守」が大きなポイントです。
また、産業廃棄物の適正処理の促進を目的として、不法投棄ホットラインの設置や、普及啓発・監視活動などの取り組みが実施されています。産業廃棄物処理業に携わるうえで重要な今回の内容を、ぜひ実務でもお役立てください。
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