金属くずの処理方法についてわかりやすく解説
一口に産業廃棄物といっても、その中には多くの種類があり、その数は20種類にものぼります。そのまま廃棄に回さざるを得ないものもあれば、リサイクルできるもの、分別して廃棄とリサイクルに分けなければならないものなど、さまざまです。
その中の一つに「金属くず」とよばれるものがあります。金属くずとは何なのか、どのような処理方法が必要なのかを考えてみましょう。
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金属くずとは
「金属くず」は、20種類に分けられる産業廃棄物の中の一つで、その名の通り「金属」の廃棄物です。現状では、ほとんどがリサイクルされています。
「金属くず」の中心は、鉄が主成分の「鉄くず」です。ほかに、空き缶などのアルミ、シンクや包丁などに使われているステンレス、レアメタルなど、「非鉄金属」とよばれるものがあります。
また、金属くずは排出される段階によって呼び方が変わります。
製鋼・製品加工過程で発生する金属くずは「自家発生スクラップ」とよばれ、製品として世の中に出回ったものから発生する金属くずは「市中スクラップ」とよばれます。そして、市中スクラップは自動車や建築物などを製造する際に発生する「工場発生スクラップ」と、それらを使用し終え、解体される際に発生する「老廃スクラップ」に細分されます。
金属くずの廃棄量について
環境省が発表する平成30年度の産業廃棄物の種類別排出量の統計では、全国の金属くず総排出量は7,265千トン(全体の1.9%)。また、その内の94%、およそ6,830千トンが再生利用されていると発表されています。同様に高い水準で再生利用されている、がれき類(96%)、動物の糞尿(95%)に次ぐ再生利用率です。金属くずは再生利用可能な資源として非常に優秀なマテリアルであるといえるでしょう。
(参照データ:環境省 令和元年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 平成 30 年度速報値(概要版))
しかし、7,265千トンもの金属くずが発生し、およそ6,830千トンが再利用されているとしても、435千トンもの金属くずは廃棄処分になっているのが現状です。これらの数字は、平成30年度のたった1年間に排出され、再生利用され、実際に廃棄されている金属くずの数値です。すでに高い再生利用率を誇っているとはいえ、今後もさまざまなかたちで金属くずの廃棄量を減らしていく仕組みが求められます。
金属くずの処理方法
見た目からもはっきりと選別できる状態の金属は、収集運搬時に選り分けることができます。これを「金属回収」とよびます。
また、不純物が多く入り混じっている状態の金属は、「精錬」を行うことで、より純度が高く質の良い金属くずを回収することができます。レアメタルの回収や、金属基板のように簡単には分別できないものから金属くずを手早く選別、排水処理する際には「王水」とよばれる液体に漬け込みます。王水とは濃塩酸と濃硝酸を3:1の体積比で混合した液体のことで、最も比重の高い金属の王である「金」をも溶解させる液体です。
これらの処理方法によって、金属くずは再生利用率94%という実績を誇っています。
まとめ
高い再生利用率を誇る金属くずは、産業廃棄物として収集運搬業者が回収するものばかりではありません。一般家庭からも買取業者に持ち込まれるケースがあります。金属加工を行う企業でスクラップ売却までを手がけているところもあります。
現在でも金属くずは十分に再生利用されているように思えますが、まだ6%は廃棄されており、再生できていません。1%でも多くの金属くずを再生できるように、ごく僅かな回収量であっても見合う利益を提供できる仕組みが必要であり、今後の課題となっています。
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