マニフェストとは?産廃事業者の基礎の基礎
産廃事業者にとって、マニフェストは必要不可欠な書類です。マニフェストを正しく理解して使用しないと、罰則を受けたり取引中止になったりするなど、思わぬトラブルを招く可能性があります。
ここでは、マニフェストの目的や使い方について解説します。正しく理解し、円滑な事業運営を心掛けましょう。
目次 CONTENTS
マニフェストとは?
マニフェストの正式な名称は「産業廃棄物管理票」です。マニフェストは、廃棄物を処理事業者に委託する場合に、排出事業者が処理業者に交付することが義務化されています。しかし、実際には排出事業者ではなく運搬事業者がマニフェストを用意するケースが多いのが実情です。
これには、多くの排出事業者がマニフェストに対して知識が不足していたり、発行が面倒だと考えられたりしているため、排出事業者は運搬業者にマニフェストの発行を代行させてしまうという背景があります。
マニフェストがあることにより、運搬が予定通りに行われているか確認できます。そのため、不法投棄を未然に防ぐことにつながり、廃棄物が正しく処理される仕組み作りができました。
マニフェストには、以下のような基準が定められています。
- 廃棄物の種類ごとの交付
- 運搬先の事業所ごとの交付
- 廃棄物の引渡しと同時に交付
- マニフェストと処理委託契約書の内容に相違が無いか
- 使用したマニフェストの写しの保存期限は5年間
マニフェストには細かく基準が明記されていますが、それぞれに目的があります。
マニフェストの目的とは
マニフェストに記載されている項目は、大きく分けて4項目になります。
- 廃棄物の名称
- 運搬する事業者の名称
- 各処理事業者の名称
- 廃棄物の取扱上の注意事項等
マニフェストを見れば、ある廃棄物がどこから来てどこで処理されるのかが容易に把握できるようになりました。また、マニフェストを義務化したことにより、廃棄物を不法投棄できない状況が作られたのです。
マニフェストを使用しなかった場合には厳しい罰則があります。また、指定の期間内に各担当自業者から完了報告がなかった場合には、各都道府県の担当窓口に報告する義務もあります。
マニフェストは、1990年に初めて登場した制度です。1993年の4月には、産業廃棄物の中で特定産業廃棄物だけはマニフェストを使用することが義務化されました。さらに1998年には、マニフェストを全ての産業廃棄物に適用することが決定されたのです。
その後もマニフェストは厳しくなり、2001年になると排出事業者は中間処理だけでなく最終処分の確認をすることが義務化されました。
このように、年々マニフェストが厳しくなってきた背景には、産業廃棄物の不法投棄が深刻な社会問題を引き起こしていたことがあります。そこで、排出事業者に最後まで廃棄物の責任を負わせることによって不法投棄を減らし、業務の健全化を図る目的でマニフェストが厳格化されてきたのです。
マニフェスト使用の流れ
実際にマニフェストがどのように使用されているか把握し、流れを理解しておきましょう。紙マニフェストを採用している場合、電子マニフェストとは行程が異なる部分があります。大まかな紙マニフェストを使用した場合の流れは以下の通りです。
- 廃棄物の発生
- 排出事業者から運搬業者へ
- 運搬業者から中間処分業者へ
- 中間処分完了
- 最終処分完了
マニフェストは上記の段階を踏んで移動していきます。次項では、マニフェストの流れをより詳しく解説します。
マニフェストの流れ
マニフェストの交付から最終処分まで、一連の流れを解説します。
1.マニフェストを交付する
排出事業者は、マニフェストの交付を受けてから必要事項を記入していきます。交付された紙マニフェストは、A、B1、B2、C1、C2、D、Eの7枚複写になっています。運搬業者が引取りに来た際に署名をしてもらい、A以外は廃棄物と一緒に運搬業者へ渡します。Aは排出事業者の方で保管されます。
2.運搬業者から中間処分業者へ
廃棄物とマニフェストは、中間処分業者へと運ばれ、中間処分業者は、署名をするとB1とB2のマニフェストを運搬業者へと渡します。さらにB2は排出業者に送付され、運搬完了の報告を同時に行うのです。
3.中間処分の終了後
中間処理業者によって処理が終わると、署名をしてC1は手元に保管し、C2を運搬業者に、Dを排出事業者に送付します。Eは、最終処分が終わってから送付するので、この時点ではまだ保管しておきます。
4.最終処分の終了後
中間処理業者の処理が終わると、最終処分業者は新しく交付したマニフェスト(2次マニフェスト)によって処分の終了を確認します。そして、中間処分業者が保管していたマニフェストEに最終処分が完了した日付を記載し、排出事業者に送付するのです。
マニフェストに関する罰則
マニフェストに不備や違反があった際は、罰則が用意されています。これまでにも、罰則が適用されて事業者が逮捕されたという事例もあるのです。マニフェストの中で最も罰則が重いのは委託基準違反です。委託基準は、以下のように定められています。
- 都道府県知事等の許可を受けた産廃処理事業者が委託する
- 産廃処理事業者の許可内容と処理を委託する産廃内容が合っていることの確認
- 委託する産廃処理事業者と、直接書面で契約する
- 産廃処理事業者が処理基準を満たしているか確認する
上記に違反した場合、5年以下の懲役もしくは罰金またはその両方が課せられます。委託基準が守られていないと廃棄物が正しく処理されない可能性が高くなるため厳しい罰則が定められているのです。故意・過失に関係なく、違反した場合には罰則の適用を受けることになります。
また、軽微な不備についても罰則規定があります。以下の4点に注意しましょう。
- 産廃マニフェストの不交付
- 産廃マニフェストの虚偽記載
- 産廃マニフェストの報告義務違反
- 産廃マニフェストの保存義務違反
これらに違反すると、6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金またはその両方が課せられます。担当者の入力ミスによって違反となってしまうケースもあり得ますが、発覚した場合は罰則が適用されるのです。
まとめ
マニフェストは、産業廃棄物を正しく処理するために必要な重要書類です。産業廃棄物に関わる各事業者や運搬業者に対して、マニフェストを正しく交付し、使用することが法律で定められています。
マニフェストに違反すると、たとえ過失であっても罰則を受ける対象となり、場合によっては行政処分を受けることもあり得ます。正しく理解した上で産業廃棄物処理を行うように心掛けましょう。
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