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産業廃棄物の海外輸出

日本から海外への輸出品というと、自動車や半導体部品、産業機械などを思い浮かべる方が少なくないでしょう。

しかし、実は日本は、再生資源として鉄鋼スラグや古紙、プラスチックを海外へ輸出している産業廃棄物輸出大国でもあるのです。

本記事では、日本の産業廃棄物の輸出の現状と課題について解説いたします。

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日本の産業廃棄物の輸出の現状

日本から海外へ輸出している産業廃棄物には、どんなものがあるのでしょうか?
一般社団法人 産業環境管理協会が2019年7月に発表した「リサイクルデータブック2019」によれば、2016年における日本から再生資源として輸出されるものは、鉄鋼スラグ(1,128万トン/全体の36.8%)、鉄鋼のくず(869万8,000トン/同28.4%)、古紙(413万9,000トン/同13.5%)がトップ3で、これらが輸出量の80%近くを占めています。

日本が産業廃棄物を海外に輸出する理由

日本で排出される産業廃棄物は2000年前後をピークに減少傾向にあるものの、国土の狭い日本では最終処分場は慢性的に不足しています。

また、許認可などがネックとなり処理施設が増やせず、国内だけでは処分しきれない産業廃棄物を中国や東南アジア、台湾などの国へ輸出してきました。

産業廃棄物の輸出入を規制する「バーゼル条約」

産業廃棄物の輸出入に関しては「バーゼル条約」に規定されており、自由に行えるわけではありません。
バーゼル条約は、1980年代後半に先進国から発展途上国への有害廃棄物の越境移動により、廃棄物が放置されて環境汚染が生じた問題に対処するため、1989年3月に採択されました。

バーゼル条約の主旨は、有害廃棄物の越境移動を適正に管理することで特に途上国における国境を越えた環境汚染を未然に防止することにあります。
有害廃棄物は発生国において処分することを原則とし、自国内で処理が困難なときなど、止むを得ず越境移動を行う必要がある場合には、輸入国及び通過国に事前通告を行ったうえで輸出を行い、有害廃棄物の処分が終了するまでの管理・運用に責任を負うことが求められます。
さらに、契約通りに終了しなかった場合には、輸出国が回収しなくてはなりません。
これらに違反した場合は罰則が科せられます。

自国では産業廃棄物を処理しきれない先進国にとって産業廃棄物輸出はありがたい手段ですが、課題もはらんでいます。

バーゼル条約違反

混入物の多い金属スクラップやシュレッダー破砕物、リユース目的と偽装された使用済電気電子機器など、有害物質が含まれる可能性がある産業廃棄物が、バーゼル法に基づく有害性評価をすり抜けて輸出され、輸出先国政府から引き取りを要請される事例が相次いでいます。
これは、バーゼル法が混合物を想定していないため、有害性評価が適正に行われないことに起因していることが指摘されています。

また、2019年4月、輸入国であるフィリピンのドゥテルテ大統領は、カナダから輸出された廃プラスチックのコンテナの中身がリサイクル処理のできないプラスチックごみだったとして送り返し、コンテナを回収するよう要請しました。
同様のことが日本・マレーシア間でも起き、ノルウェーが「汚れたプラスチックごみを輸出する際に相手国の同意が必要となる」改正案を提案し、各国が賛同して改正されました。

輸入国の規制

発展途上国を中心とした輸入国が、いつでもそしていつまでも産業廃棄物を受け入れてくれるとは限りません。

中国政府は、2017年12月、環境汚染や国民の健康被害の防止を掲げて廃プラスチック類の固形廃棄物の輸入を禁止しました。中国を廃プラスチックの主な輸出先としていた日本はこれを受けて、2018年以降、東南アジアや台湾への輸出を強化しましたが、いずれの国も2018年7月以降に廃プラスチックの輸入基準を厳格化しました。

廃プラスチックが行き場をなくしたことで、日本の政府は2019年5月、プラスチックごみの海外輸出を実質的に停止する方針を決め、国内処理に舵を切りました。

日本の産業廃棄物の海外輸出を取り巻く状況についてご紹介してきましたが、海外に目を向けるとどのようになっているのでしょうか?

先進国、発展途上国の双方についてご紹介いたします。

米国

廃プラ輸出国トップの米国では、日本のように「産業廃棄物」「一般廃棄物」の区分ではなく、「有害廃棄物」「非有害廃棄物」で廃棄物を区分しています。さらに、非有害廃棄物の下に「都市廃棄物」「下水汚泥」「日有害産業廃棄物」「建設廃棄物」「農業廃棄物」「鉱山廃棄物」などが紐づくかたちとなっています。

産業廃棄物処理に関する責任は、すべて排出事業者にある点も特徴で、有害廃棄物の場合は、環境保護庁のID番号の取得、環境保護庁のID番号を取得している運搬者及び処理・保管・処分(TSD)施設を利用した処理、マニフェストシステムの遵守の義務を負うことになります。

また、産業廃棄物の排出量が多い割に中間処理や処分に関する規制がゆるく、産業廃棄物処理に関する連邦政府の補助金がわずかしかない点も特徴です。

排出量については、2000年の固形廃棄物のうち、都市廃棄物の排出量が2.3億トン(前年比0.3%増)となっています。

(出典:環境省「海外の廃棄物排出状況と処理処分の特徴」

EU

EU圏における廃棄物の区分は、「一般廃棄物」「有害廃棄物」となっており、それぞれ、以下のように定義付けられています。

  • 一般廃棄物…生産または消費の残余物(リサイクル可能な残余物も含む)
  • 有害廃棄物…「有害廃棄物リスト」で分類されている404種類に当てはまるもの、有害廃棄物の成分を有するもの

排出量については、1995年の産業廃棄物が3,300万トンとなっています。

なお、廃プラ輸出国No.2のドイツでは、「家庭用廃棄物と、それ以外の廃棄物」、「リサイクル向け廃棄物と処分向け廃棄物」の2通りの区分を採用しており、産業廃棄物処理の事業者については、廃棄物の排出者・所有者には、自己責任原則に基づいて廃棄物を自らリサイクル・処分することが義務付けられています。

排出量については、1997年の一般廃棄物の量が1,800万4,000トンです。

(出典:環境省「海外の廃棄物排出状況と処理処分の特徴」

発展途上国

発展途上国ではまだ廃棄物処理の設備やフローが整備されていない地域が多く、一般廃棄物においても空き地などにそのまま投棄されていることも少なくありません。

また、中間処理についても導入が進んでいないため、ほぼ埋め立て処分になるなど、公害・環境汚染問題に直結するような廃棄物問題に直面しています。

廃棄物管理は、経済、制度、歴史、文化などに裏打ちされる部分も大きく、これらが現状に即して整備されていないことの多い発展途上国においては、廃棄物問題への対応が効果的に行えない現状があります。

最終処分場や処理能力など、自国では産業廃棄物の処分をまかえない国々にとって好都合な産業廃棄物の海外輸出ですが、輸出国のバーゼル条約違反もあり、輸入国で規制が進み逆風となっています。

今後は各国とも、自国での処理を前提として処理施設の整備や処理技術の向上に努めていく必要があるでしょう。
根本的に産業廃棄物の排出を抑制するための3Rへの取り組みも、ますます重要になるのではないでしょうか。

 

 
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