産業廃棄物と3Rの関係
3Rとは、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3つの頭文字を取った略語で、廃棄物を減らし、資源の再利用を促進するための標語として広く知られています。この記事では産業廃棄物の排出事業者が取り組むべき3Rの考え方とその効果についてご紹介します。
目次 CONTENTS
産業廃棄物の削減と3Rの促進
環境省のデータによると、平成29年度の産業廃棄物の総排出量は約3億8,354万トン。これに対し一般廃棄物の排出量は約4,289万トンであり、産業廃棄物は一般廃棄物の約9倍もの量が排出されていることがわかります。
3Rは、一般市民の環境意識を高める標語として広く活用されていますが、廃棄物に占める産業廃棄物の割合とその影響力を考えると、産業廃棄物の排出業者こそが3Rをはじめとした環境負荷を低減する取り組みを促進していかなければならないことがわかります。
では、産業廃棄物の排出業者は、どのように3Rに貢献することができるのでしょうか。産業廃棄物処理における3Rの取り組み方について詳しく考えてみましょう。
※データ出典元:
一般廃棄物 環境省・廃棄物処理情報サイト
産業廃棄物 環境省報道発表資料
3Rとは?
冒頭でお伝えした通り、3Rとは、廃棄物の削減や再活用を促し、循環型社会を実現するため「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会」などがその活動を推進しています。
非常にシンプルに表現すると、リデュース(Reduce)とは「捨てるものを減らすこと」、リユース(Reuse)とは「繰り返し使うこと」、リサイクル(Recycle)とは「資源として生かすこと」を指します。
一般廃棄物に対しての3Rの取り組みであれば、このような簡単な説明でイメージができると思います。しかし、産業廃棄物にとっての3Rを考える場合は、もう少し詳しくその定義を知る必要があります。以下は同協会が紹介する3Rの各項目の考え方の定義です。
●リデュース(Reduce)
製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること。耐久性の高い製品の提供や製品寿命延長のためのメンテナンス体制の工夫なども取り組みのひとつです。
●リユース(Reuse)
使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること。その実現を可能とする製品の提供、修理・診断技術の開発、リマニュファクチャリングなども取り組みのひとつです。
●リサイクル(Recycle)
廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること。その実現を可能とする製品設計、使用済製品の回収、リサイクル技術・装置の開発なども取組のひとつです。
産業廃棄物の排出事業者における3R
上記でご紹介したように、3Rの考え方には一般市民が取り組むべきゴミの削減やリサイクルの方針だけでなく、製品の設計開発・修理・回収など、事業者が実践すべき活動も含まれています。
産業廃棄物の排出事業者に関わる3Rの取り組み方は、例えば次のようなものが考えられます。
●リデュース(Reduce)
産業廃棄物を減らす工夫
- 原材料をむだなく効率的に使うようにする。
- 簡易梱包、簡易包装の工夫をする。
- 機械や器具を修理し、長く使う。
- 食品ロスを削減する。
●リユース(Reuse)
廃棄物にならないよう再利用する工夫
- 本体や部品の再利用がしやすい設計をする。
- 使用済の製品や部品を回収して再活用する。
●リサイクル(Recycle)
廃棄物を資源として生かす工夫
- リサイクルしやすい原材料を使う。
- 資源として活用しやすいよう廃棄物を正しく分別する。
- 排出事業者が責任をもって廃棄物を適切に管理する。
とくに、産業廃棄物の処理の段階で重視すべきなのはリサイクルです。産業廃棄物が正しく分別されていれば、再資源化できる産業廃棄物を効率よくリサイクルにまわすことができます。また、排出業者が産業廃棄物の排出量や排出物の内訳、処理方法をきちんと把握することで、排出量の削減や処理方法の改善など、環境負荷を低減する継続的な取り組みを行えるようになります。
産業廃棄物の3R促進でコストダウンへ
産業廃棄物の排出事業者が3Rに取り組むことは、環境にやさしいだけでなく、事業者にとってもメリットがあります。
3Rに取り組み、産業廃棄物の全体の排出量を低減できれば、産業廃棄物の処理にかかる膨大な費用や工数を抑えることができます。また法令によって義務付けられるマニフェストは、不法投棄や不適切な処理を防止するだけでなく、リサイクルの促進にも役立ちます。事業者がマニフェストをきちんと運用することで、資源化できるものの区別を明確にしたり、排出量を見える化して減量を図れたりするのです。
まとめ
このように、循環型社会を目指す標語として広く知られる3Rは、一般廃棄物だけでなく、産業廃棄物の排出事業者にとっても重視すべき考え方であることがわかりました。
SDGsへの対応など、事業者に持続可能な開発が求められる昨今。3Rの考え方を取り入れ、産業廃棄物における環境負荷低減を目指すことは、排出事業者にとって今後も重要な課題となることでしょう。
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