電子マニフェストのメリットとデメリット
企業にとって、IT化は非常に重要な存在であると同時に難しい問題でもあります。マニフェストにも「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」の2種類が存在しますが、電子マニフェストの導入には多くの課題があります。ここでは、電子マニフェストを採用した際のメリットとデメリットについて理解し、最適な運用を見つけていきましょう。
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電子マニフェストとは
平成10年から導入が始まった電子マニフェストは、情報を電子化することによりインターネット上でいつでも利用できる利便性の高いシステムです。パソコンやスマートフォンでのやりとりが可能となり、外出先からでもマニフェスト情報が簡単に確認できます。
電子マニフェストの情報は、情報処理センターを介して各業者間でやりとりされます。現在は、JWNET(公益財団法人日本産業廃棄物処理新興センター)が法律で定められた唯一の情報処理センターとなっており、外部流出のリスクを排除しているのです。(※1)
2020年4月からは電子マニフェストが一部義務化されました(※2)。義務化によって電子マニフェストの導入が進み、現在の導入率は60%を超えました。
(※1JWNET)
https://www.jwnet.or.jp/policy/index.html
(※2環境省ホームページ)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/laws/kaisei2017/faq_mani.html
電子マニフェストのメリット
電子マニフェストのメリットは、紙マニフェストと比べてヒューマンエラーによるトラブルが圧倒的に減少する点にあります。
- 記入漏れや記載ミスなどヒューマンエラーの防止
- 産業廃棄物の処理状況をリアルタイムで確認可能
- マニフェスト交付等の報告が不要
- マニフェストの保管が不要
- 事務作業の効率化を実現
電子マニフェストは紙マニフェストと違い、24時間いつでもマニフェストの登録や状況の確認ができるのが特徴です。パソコンやスマートフォンを使ってインターネットに接続できれば、簡単な操作で状況が把握できます。
また、電子マニフェストはシステムで管理されているため、記入漏れや記載ミスが起きた際もすぐに発見できます。終了報告期限が近づくと注意喚起をしてくれるという点も、紙マニフェストとの大きな違いです。
電子マニフェストの導入により、事務処理が効率化されて人件費の節約になったという企業も非常に多く、産業廃棄物の排出状況や委託先の処理状況の把握も容易にできます。外出先でも排出状況や処理状況の把握ができるのは、万が一契約情報の確認が必要になった場面においても大きなメリットです。
本来、マニフェストには5年間の保管義務があります。しかし、電子マニフェストは情報処理センターに直接情報が保存されるので、関連書類を保管し続ける必要がありません。これによって、マニフェストの保管のためのスペースを確保・管理する労力を大幅に削減することが可能です。
産業廃棄物の排出が多い事業者にとっては、電子マニフェストの恩恵は非常に大きいものと言えるでしょう。
記入漏れや記載ミスなどヒューマンエラーの防止
電子マニフェストのいちばんのメリットは、紙マニフェストと比べてヒューマンエラーによるトラブルが圧倒的に減少する点にあります。
電子マニフェストはシステムで入力管理されており、すべての項目を入力しないとマニフェストが発行されないしくみになっています。このため、記入漏れや記載ミスが起きた際もすぐに発見できます。また、終了報告期限が近づくと注意喚起をしてくれるという点も、紙マニフェストとの大きな違いです。
産業廃棄物の処理状況をリアルタイムで確認可能
電子マニフェストは、24時間いつでもマニフェストの登録や状況の確認ができるのも特徴のひとつです。収集運搬業者からの運搬終了報告や、処理事業者からの処分終了報告、最終処分終了報告なども、情報処理センターからメールなどで通知されます。
排出事業者は、こうした報告をパソコンやスマートフォンで確認できますし、外出先でもインターネットに接続できる環境があれば、簡単な操作で処理の状況が把握できます。急ぎで契約情報の確認が必要になった場面においても、大きなメリットです。
また、排出、収集、処分の3者がいつでも閲覧・監視して不適切なマニフェストの登録や報告を防ぐことにより、データの透明性を確保できることも電子マニフェストのメリットでしょう。
マニフェスト交付等の報告が不要
紙マニフェストでは、マニフェストの交付状況を年に一度、都道府県等に報告することが定められています。
電子マニフェストでは、情報処理センターが報告を代行してくれるため、排出事業者が報告書を作成・提出する必要はありません。
マニフェストの保管が不要
紙マニフェストには、5年間の保管義務があります。
一方で電子マニフェストは、情報処理センターに直接情報が保存されるので、関連書類を保管し続ける必要がありません。これによって、マニフェストの保管のためのスペースを確保・管理する労力を大幅に削減することが可能です。もちろん、マニフェストの紛失リスクもなくなります。
事務作業の効率化を実現
総じて、電子マニフェストの導入により、事務処理の効率化が期待できます。ある企業では、電子マニフェスト化により作業負担が大幅に軽減し、人件費の節約につながったというケースもあります。
産業廃棄物の排出が多い事業者にとっては、電子マニフェストの恩恵は非常に大きいものと言えるでしょう。
電子マニフェストのデメリット
電子マニフェストには多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットも存在します。
- 導入と運用にお金がかかる
- 排出事業者、処理事業者、運搬業者の全てが加入する必要がある
- 情報と物の不一致が起こる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
導入と運用にお金がかかる
電子マニフェストを運用するには、全ての事業者がJWNETに加入することが必須となり、それぞれ基本料と使用料の支払いが必要になります。 排出事業者の場合、利用区分は、A料金、B料金、C料金の3つに分類されます。
A料金
基本料(年間) | 26,400円 |
---|---|
使用料(1件につき) | 11円 |
B料金
基本料(年間) | 1,980円 |
---|---|
使用料(1件につき) | (90件まで無料)91件から22円 |
C料金
基本料(年間) | 不要 |
---|---|
使用料(1件につき) | 22円 |
※全て税込みの金額です。
排出事業者がC料金に加入するためには、3つの条件があります。
- 排出事業者が30者以上集まって加入する
- 利用代表者が団体加入者の料金を一括で支払う
- 情報処理センターからの連絡先は代表者のみとする
収集運搬業者については排出事業者のような利用区分はありません。
収集運搬業者
基本料(年間) | 13,200円 |
---|---|
使用料(1件につき) | 不要 |
運搬業者の料金は、産業廃棄物を運搬するだけなので一律です。
最後に処分業者ですが、処分業者は処分報告機能のみの場合と、処分報告機能と中間処理後の残債を電子マニフェストに登録する機能の場合で区分が分かれます。後者は、さらにA料金とB料金から利用区分を選択することになります。
利用区分は以下の通りです。
処理機能のみ
基本料(年間) | 13,200円 |
---|---|
使用料 | 不要 |
処理機能と電子マニフェスト登録機能(A区分)
基本料(年間) | 26,400円 |
---|---|
使用料 | 11円 |
年間登録件数 | 1381件以上 |
処理機能と電子マニフェスト登録機能(B区分)
基本料(年間) | 13,200円 |
---|---|
使用料 | (90件まで無料)91件から22円 |
年間登録件数 | 1380件以下 |
※全て税込みの金額です。
基本料と使用料は毎年発生します。電子マニフェストを導入するには、このコストを維持できるかが大切です。
排出事業者、処理事業者、運搬業者の全てが加入する必要がある
電子マニフェストは、排出事業者、処理事業者、運搬業者の全てが加入しないと運用できません。そのため、完全に電子マニフェストへと移行するまでは紙マニフェストが必要になります。移行がスムーズに進まないと余計に業務が複雑になり、業務効率が低下する可能性があるので注意しましょう。
情報と物の不一致が起こる
電子マニフェストは産業廃棄物と共に移動する訳ではないので、物とマニフェストとが不一致を起こしてしまう可能性が否定できません。そのため、常に現物とマニフェストを確認したいという業者は、紙マニフェストにこだわる傾向にあるのです。
まとめ
電子マニフェストは2020年4月から一部義務化され、すでに約60%導入が進んでいます。この流れはさらに加速していき、電子マニフェストがより多くの業者に導入される可能性が高く、紙マニフェストの時代は過ぎようとしていると言えるでしょう。 電子マニフェストを導入することで業務効率は飛躍的に上がり、ヒューマンエラーによるミスで違反してしまうリスクも回避できます。
まだ紙マニフェストを使用している場合は、電子マニフェストの導入を検討してみてください。
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