医療廃棄物を処理する際の新型コロナウイルス感染症予防対策
新型コロナウイルス感染症が流行している昨今で、医療廃棄物の正しい処理方法について改めて徹底する必要があります。この記事では、医療廃棄物を処理する際の新型コロナウイルス感染症予防対策について解説します。
目次 CONTENTS
医療廃棄物とは
医療廃棄物とは、医療行為に伴って排出される廃棄物を指す言葉です。医療機関で排出された場合は「医療関係機関廃棄物」に分類され、在宅医療に関係する場合は「在宅医療廃棄物」に分類されます。
「医療関係機関廃棄物」は、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2つに分類できます。それぞれの廃棄物は、以下のとおり、さらに細かく仕分けることが可能です。
- 産業廃棄物:特別管理廃棄物(有害廃棄物、感染性廃棄物)、一般廃棄物
- 一般廃棄物:特別管理廃棄物(感染性廃棄物)、一般廃棄物
これらの医療廃棄物は、排出者がしっかりと処理するように義務付けられています。
産業廃棄物に含まれる医療廃棄物について
前述した医療廃棄物のうち「産業廃棄物」に分類される対象物として、以下の項目が挙げられます。
- 汚泥:血液、実験室や検査室などの排水処理施設から排出される汚泥など
- 廃油:アルコール、キシロール、クロロホルムなど
- 廃アルカリ:凝固していない廃血液、レントゲンの現像廃液など
また、「感染性産業廃棄物」としては以下が挙げられます。
- 血液等が付着した鋭利なもの:注射針、メス、試験管、シャーレ、ガラスくずなど
- その他血液等が付着したもの:実験や手術用の手袋など
医療廃棄物の不法投棄について
次に医療廃棄物のうち「産業廃棄物」の処理フローについて見ていきましょう。はじめに、非感染性廃棄物であることを確認し、爆発・有害性がないことをチェックします。
その後、医療機器の場合はそのまま金属やガラス、プラスチックなどに分別を行い、産業廃棄物としてリサイクル、もしくは処理・処分を実施します。また、医薬品容器包装の場合は、医薬品の付着がないことを確認した上で分別し、産業廃棄物としてリサイクル、もしくは処理・処分を行います。
ほぼ全ての医療機関では、外部の産業廃棄物処理業者へ運搬・処理を委託しています。しかし、医療廃棄物の不法投棄が発生しているのが実情です。平成17年度における産業廃棄物全体の不法投棄は558件発生し、投棄量は17万2,179トンに及んでいます。平成12年度の1,027件、40万3,274トンに比べると減少傾向にあるものの、解決しなければならない課題の一つです。
そのため、不法投棄の対策として、医療現場の分別収集確立、適正処理業者選定マニュアルの整備などが推進されました。
医療廃棄物を処理する際の新型コロナウイルス感染症予防対策について
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症は、その感染力の高さから世界中で猛威を振るう結果となりました。医療廃棄物に含まれる産業廃棄物を処理する上で、どのようなポイントに気をつけるべきなのでしょうか。
まず、医療機関や検査機関などからは、新型コロナウイルス感染症の診断や治療を行った感染性廃棄物が排出される可能性があります。また、医療機関以外の事業者や一般家庭からは、新型コロナウイルス感染者の鼻水や痰が付着したティッシュ、使用済みのマスクなどが排出される可能性があるでしょう。
産業廃棄物業界ができる取り組みとしては、基本的な感染予防の徹底や、業務の継続が可能な資材の確保が必要です。また、委託業者や許可業者などで感染者が発生した場合のフローや、業務の優先順位をあらかじめ決めておくことも重要です。
万が一、新型コロナウイルス感染者が出たという場合も、関係各所との調整を事前に行っておくことで、廃棄物処理施設を継続的に運営できる可能性が高まるでしょう。
まとめ
産業廃棄物の中に含まれる医療廃棄物には、血液等が付着した注射針や試験管などが挙げられます。新型コロナウイルス感染症を予防するためには、医療廃棄物の分類を把握した上で、基本的な感染対策の徹底が大切です。
委託業者や許可業者で新型コロナウイルス感染者が発生した万が一の場合に備えて、事前にフローや業務の優先順位を決めておきましょう。そうすることで、産業廃棄物処理業務を安定的に継続できる可能性が高まります。新型コロナウイルス感染症によるリスクを低減するためにも、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。
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